「3.11を忘れない・・みやぎ生協から被災地・宮城のいま」をお伝えします
第40回 2016年12月12日
心と福祉と教育の専門家が学校を外側からサポート
震災で環境が大きく変わった子どもたちに、もうじき6度目の春が来ます。被災地では復興公営住宅の建設が進み、まちづくりも盛んです。しかしそれはあくまで“復興途上”の風景です。
「宮城県内にはいまなお仮設住宅から通学する児童生徒が約1,700人、学校が遠くなったためスクールバスで通学している子が約2,400人います」。宮城県教育庁の高橋義孝さんは、復興途上のまちで暮らす子どもたちの厳しい状況について、そう説明します。
今年、県内の小学5年生と中学2年生を対象に行った調査では「震災を思い出して気持ちが落ち着かなくなる」と回答した児童生徒が小学5年生で約2割、中学2年生で約1割いました。
宮城県は震災発生直後から児童生徒の心のケアに取り組んでいます。今年4月には「心のケア・いじめ・不登校対策支援チーム」が発足。その訪問・相談チームとして東部教育事務所内に「児童生徒の心のサポート班」(以下サポート班)が設置されました。
サポート班は、カウンセリングなどを担う「心理士」、福祉の視点で向き合う「スクールソーシャルワーカー」、教育の専門家として学校を支援する「指導主事」の3職種で構成されています。沿岸14市町を重点的に、学校訪問や電話・来所相談などを通じ、専門性を活かしたさまざまな取組で学校を外側から支援していきます。
活動開始からまだ1年経っていませんが、サポート班指導主事の浅野芳博さんは「学校を巡回するなかでいろいろ相談を受けたり、“不登校の子どもについて3職種で対応を見立ててほしい”と要望されたりする機会が増えた」と話します。
子どもたちはひとり一人異なる事情を抱えています。最近ようやく被災体験を言葉にできるようになった子もいれば、突然フラッシュバックを起こして体調を崩す子もいます。「我々のサポートで、悩みを抱えた子どもや保護者、先生たちの気持ちが少しでも楽になれば」と浅野さん。子どもたちが安心と希望を持って学ぶ環境をつくるため、サポート班による心のケアの取組は続きます。
情報提供/みやぎ生協