「3.11を忘れない・・みやぎ生協から被災地・宮城のいま」をお伝えします
第30回 2016年2月10日
~地域再生に向けて~
コミュニティ、今とこれから
「戸建住宅は庭に出れば隣人の顔が見える。会話が生まれ自然と交流に発展する。
ところが集合住宅ではその機会が無く、ストレスを抱えているひとが多い」。そう話すのは名取市美田園北(みたぞのきた)自治会会長の高橋学さんです。
防災集団移転と災害公営住宅の入居が進む被災地。美田園北もその一つです。被災した下増田や閖上の住民162世帯が移転し、昨年秋に「まちびらき」を行ないました。
高橋さんは「これまで何度もコミュニティが壊れてきた。被災したとき、避難所から仮設に移ったとき、仮設からいまの住まいに移ったとき。ここで、また一からコミュニティを築いていかなければならない」と話します。しかし美田園北地区の集会所ができるのは今年の夏ごろの予定。「それまで手をこまねいているわけにはいかない」と集合住宅のエントランスホールで小規模の集いを開きました。「普段部屋に閉じこもっている人たちも集まっていろいろ悩みを話してくれた。気持ちを吐き出すことで少しはラクになる。その手伝いができればいい」。
名取交流センターは、地域の共助として震災直後の5日後から被災者支援に取り組み始めました。下増田・閖上地区で被災した人たちが美田園北に移転後も、毎週交流お茶会「いぐすぺ」を継続開催し、コミュニティづくりを支えています。
「地域の方々が適度な距離感で支えあえるよう、外部から潤滑油として関わっています」と若山陽子さん(名取交流センター事務局)。自治会の高橋会長はじめ住民からは「名取交流センターさんなら」と信頼もされています。
しかし震災からもうじき5年、「私たちがフェードアウトできる日がくることを目標に希望を聞きながら寄り添う」(若山さん)、「コミュニティ構築のために集会所を自治会でどう活用していくか、考えていかなければならない」(高橋さん)と、それぞれ次のステップに目を向けています。
コミュニティ再構築は被災地に共通する課題です。みやぎ生協でも震災後「ふれあい喫茶」などのサロン活動を各地で継続してきましたが、新たな住まいの場でのコミュニテイ構築への支援のありかたを模索しています。自治会、行政、伴走するボランティア、そして生協などが連携しあい、あらたな住民にとって良い方法を見出していくことが求められています。
情報提供/みやぎ生協