東日本大震災被災地の現状

「3.11を忘れない・・みやぎ生協から被災地・宮城のいま」をお伝えします

第17回 2015年1月6日

店も顧客も喪失、ゼロから始める経営再建

廃業か再建か。仮設商店街の商店主たちはこの4年間、何度も岐路に立たされてきました。

顧客だった地域住民は被災で散り散りになり人口も減少。加えて資金や後継者の問題などもあり、「再建して果たしてうまくいくのか…」。将来への不安と希望のあいだで揺れ動く日々を送ってきたのです。

2014年10月、気仙沼市の「鹿折復興マルシェ」が、嵩上げ工事のため元の場所から移転し再オープンしました。ただしそこも区画整理事業のため2016年8月末には閉鎖になります。

他の仮設商店街でも、「しおがま・みなと復興市場」が2016年8月末まで、「南三陸町さんさん商店街」が2016年11月末までと存続期限が決まっており、復興事業の進展の中で商店主たちは新たな決断を迫られています。

山元町合戦原の仮設商工施設で理容室を営む辻憲子さんは、新市街地に店舗兼住宅を建て営業を再開する予定です。「土地の引き渡しが今年9月、店舗の完成はその先だからまだまだ時間がかかりますね」。

震災後の住民離散で、辻さんの店も大勢の顧客を失いました。仮設商工施設への入店後は、隣接する仮設住宅からの来店客が増えましたが、新市街地へ移転すればそれもまた変わります。

固定客相手の商いであるはずなのにその顧客は、いまも流動的な状態が続きます。「新市街地も、以前住んでいた地区とは大きく環境が変わるので不安ですよね」。

店も顧客も失い、マイナスから出発した商店主たちにとって、本格再建は決してゴールではなく、ようやくゼロ地点に立ったようなもの。1年後、2年後の本格再建で再び経営の試練と向き合うことになるのです。

情報提供/みやぎ生協

辻憲子さん
(写真1)辻憲子さん。店舗再建費用の75%は補助金で、残りは自己資金です。「土地も住む家も買わなきゃならない。娘夫婦はいますが返済はやはり重たいですよね」とお孫さんの顔を見ながら。

合戦原地区の仮設商工施設
(写真2)辻さんの理容室のほか美容室、漬物工房、塾、飲食店、卸倉庫など6店舗が向い合せに並ぶ合戦原地区の仮設商工施設。

お問い合わせ

鳥取県生活協同組合連合会

〒680-1202
鳥取県鳥取市河原町布袋597番地1
Tel: 0858-85-0036
Fax: 0858-71-0174
Email: tottori_kenren_iwayoshi@tottori.coop